メロコア、ハードコア90年代インディーズバンド20選 その2

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1990年代、日本のアンダーグラウンドミュージックの一つとして大きなムーブメントを巻き起こしていた名立たる英雄達。

国内の音楽シーンを語る上では欠かせない時代。

前回の記事に続き、今回は残り10組を紹介させて頂きます。

後世に語り継がれるべきインディーズバンド20選(その2)

LIFE BALL(ライフボール)

1993年早稲田大学の音楽サークル内にて結成。

枠に捉われない音楽スタイルからメロコアファンだけではなく、スカパンクシーンからも熱狂的な支持を受けていましたが96年下北沢シェルターでのライブをもって解散。

音源に関しては2本のデモテープと唯一のアルバム「STEP WISE」、そしてアメリカのパンクレーベル、国内のレーベルからリリースされたオムニバス作品に参加しています。

全て廃盤となってしまいましたがデモ音源、アルバムなどの楽曲をまとめたコンプリート作品が2014年にレーベルKiliKiliVIllaからリリースされています。

解散後は平野さんは作曲家として、下地さん、柳生さんはDiSGUSTEENSにて活動しています。

元銀杏の安孫子らレーベルからLIFE BALL作品
銀杏BOYZの元メンバー・安孫子真哉(B)がチーフプロデューサーを務める新レーベル「KiliKiliVilla」(キリキリヴィラ)が設立された。

ヌンチャク

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ヌンチャク「おお焼き場は命」

1993年千葉県柏市にて結成。

意味不明な歌詞と斬新なハードコアスタイルに多くのファンが魅了されていました。

SWITCH STYLE達と共にシーンを牽引。HI-STANDARD、ガーリックボーイズ、BACK DROP BOMBなど対バンしたバンドは数多く、AIR JAMにも参加しています。

95年に1stアルバム「ヌンチャク」ROTTEN ORANGEからリリース。その後リリースを重ね、解散までに発表した音源はデモテープの他、アルバム3枚。その他オムニバスアルバム「FAR EAST HARDCORE」、スプリット「縁あって」にも参加しています。

98年1月、柏アライブでのライブを最後に解散。

解散後、向井さんは「kamome kamome」を結成。

SWITCH STYLE(スイッチスタイル)

1993年千葉県にて結成。

同年7インチep「SWITCH STYLE」をリリース。NYハードコア直系の本格派サウンド。

国内ニュースクールハードコアシーンにおいては大きな存在感を示しており、国内外問わず多くのバンドと共演していました。

97年にg、VoのYU-RIさんが脱退するものの、98年それまでの音楽性とは違うアプローチでのアルバム「METRONOME」にてメジャーデビュー。

その後リリースを重ねるも、メンバー脱退などを経て2001年に活動停止。

2008年GORILLA BISCUITSの国内ツアーの際、初期メンバー4人にて一夜限りのライブをしています。

音源に関してはシングル2枚、ミニアルバム1枚、アルバム2枚をリリースしており、その他はオムニバスアルバム「FAR EAST HARDCORE」にも参加しています。

活動停止後はyu-riさんはNUMBへ、KENZOさんはkamome kamomeへ、You×suckさんはZOZOTOWNの代表取締役へ進んでいます。

初期ハードコアサウンドがカッコよかったのは勿論、メジャー1枚目の作品「METRONOME」について賛否両論でしたが、個人的には当時、国内では類似するような楽曲を展開しているバンドがほとんどいなかった為、冒頭の「STRAIGHT AHEAD」から結構衝撃的でした。

ロックというか、オルタナというか、EMOの要素もあり、sunny day real estateの匂いがしたり、とにかく本格派のサウンドでもっと評価されて良かったのでは?と未だに思い、時代に対しても少し早過ぎたのではないかと感じている今日この頃です。

THUMB(サム)

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THUMB「WHAT DO YOU WANT TO DO」

1997年結成。ex sherbetの岡田さん、片山さん、ex green giantの羽澤さんから成る3ピースバンド。

同年にはPIZZA OF DEATHからミニアルバム「Take the first step」をリリースしています。

初期は勢いのあるメロコアサウンドでしたが、2000年に発売されたミニアルバム「even so」ではメロディを軸とした渋めのエモいサウンドへ変貌して行き、個人的にはかなりツボでした。

2001年に発売されたスプリットに収録されている「life」もこれまたかなりカッコいい作品です。

ライブも精力的に展開しAIR JAMへの参加やCAPTAIN HEDGE HOG、SHORT CIRCUIT達と共に「九人の侍ツアー」と称して全国を行脚していました。

音源に関してはデモテープとミニアルバム3枚、アルバム1枚、VA「MAKING UP NEW LINES」やスプリットへの参加。あとはライブビデオ、DVDがリリースされています。

02年3月に解散。

解散後は岡田さんがBEEF、SLIME BALLを経てBLACK BUCKへ、片山さんがFine linesSLIME BALLを経てNoshowに、羽澤さんがSLIME BALLを経てBLACK BUCKへ進んでいます。

尚、2014年3月に復活ライブを行っており、同年6月にはツアーも開催していました。

REACH(リーチ)

reachの「A Disc Full of Signs」をApple Musicで
reachのA Disc Full of SignsをApple Musicでプレビュー。1999年年。8曲。時間:18分。 アルバムを¥1,222で購入。 1曲¥204から。

REACH「The wind」

1997年、ex sherbetの渡辺さん、ex green giantの大久保さん、ex DAMAGEの柏倉さんによって結成されました。

初期はメロディックパンク調の楽曲が並んでいましたが、徐々にロックな雰囲気へシフトしていった印象です。

2002年に大久保さんが脱退すると、ex popcatcher、現toeの美濃さん、ex funsideの北川さんが加入し、4人編成となりますが03年に活動休止となります。

音源に関してはアルバム、ミニアルバムを2枚ずつ、あとはVA「MAKING UP NEW LINES」への参加、CAPTAIN HEDGE HOGとのスプリットもリリースしています。

活動休止後、渡辺さんはslime ballへ、柏倉さんは途中から並行して活動していたtoeや、the Hiatus、木村カエラさんのバックバンド、たまにhotel new tokyoなど、美濃さんはtoe、北川さんはslime ball、大久保さんはTHE MASCUTZへと進んでいきます。

CAPTAIN HEDGE HOG(キャプテン・ヘッジ・ホッグ)

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CAPTAIN HEDGE HOG「I’m Miserable」

1993年結成。横浜、都内を中心に精力的なライブ活動を展開し、99年には初の全国ツアーを実施。

翌年2000年にはTHUMB、SHORT CIRCUIT達と共に「九人の侍ツアー」を成功させています。

音源に関しても95年のオムニバスアルバム「SCUM」への参加を皮切りに数多くの作品をリリースしていますが2002年に解散。

結成から解散まで割と一貫した音楽スタイルで、それだけ幅広い音楽性と云うか、メロディックパンク、ロック、エモなどの多彩な要素がそれぞれの楽曲から感じられます。

特筆すべきは忍さんの複雑なギターワークと共に紡ぎだされるメロディ。

甘酸っぱくて、切ないけど前向きで、力強い。初期ミスオレの楽曲と似たようなテイストが感じられます。

またリズム隊カズオさんのベースは職人肌で、メロの裏の隙間を的確に針で通してくるようなフレーズが多く、楽曲の雰囲気をよりエモーショナルに引き立たせています。

解散後、忍さんはASPARAGUS、Noshow木村カエラさんのバックバンド、楽曲提供、アーティストプロデュースなど幅広く進出しており、カズオさんは一般人へ、奥脇さんはPuli、BEEFなどに参加しています。

尚、2009年と2014年に再結成をしてライブを行っています。

3P3B Ltd. > BANDS > CAPTAIN HEDGE HOG

SHORT CIRCUIT(ショート・サーキット)

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SHORT CIRCUIT「My favourite time」

1997年ex DAMAGEの原さん、黒澤さん、ex green giantの前田さんの面々にて結成。

シーンの中でもメロディックパンクというより、エモの風味が強い印象です。

全体的に音数が多いわけでもなく比較的シンプルな楽曲が目立ちますが、絶妙なコーラスワーク、爽やかで切なくて胸にグッとくるフレーズがふんだんに盛り込まれており、一度飽きたとしても、また引っ張り出して聴きたくなるような楽曲ばかりです。

リリース毎に変化していく過程も魅力の一つではないでしょうか。

音源に関してはアルバム2枚、ミニアルバム1枚、シングル1枚、その他VA「MAKING UP NEW LINES」などのオムニバスアルバム、スプリットなどに数多く参加しています。

またレーベルメイトであるCAPTAIN HEDGE HOGとも親交が深く、共に「九人の侍ツアー」を成功させています。

2006年に解散してしまいますが、14年に再結成してライブを行っています。

解散後、原さんはASPARAGUS、Noshowへ、黒澤さんはBEEF、FINE Linesへ、前田さんはGOOFY’S HOLIDAY、FREAKYFROG、ROCKET Kへ進んでいます。

3P3B Ltd. > BANDS > SHORT CIRCUIT

FUNSIDE(ファンサイド)

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FUNSIDE「human being」

千葉県にて結成。結成年は不明ですが(御存知の方がいれば教えて頂けると助かります。)1997年にSLAM RECORDSより1stアルバムが発売されています。

疾走感のある楽曲、キャッチ―なメロとコーラスワークはシーンの中でも一際目立っており、ライブ活動も精力的で99年に行われた「九人の侍ツアー」ではオープニングアクトを務めていました。

正式な解散日は解りませんが2002年のオムニバスアルバムへの参加以降、活動は絶たれたようで、音源に関してはアルバム2枚、その他「MAKING UP NEW LINES」など多数のオムニバスアルバム、スプリット、トリビュートアルバムに参加しています。

活動終了後は海出さんがTHE MASCUTZを経て現在はラーメン屋「麺屋武蔵 虎嘯」の店長へ、カトウタロウさんはBEAT CRUSADERSへ、北川さんはREACH、slime ballへと進んでいます。

SCAFULL KING(スキャフルキング)

SCAFULL KINGの「SCANDAL!」をApple Musicで
アルバム・1997年・9曲
SCAFULL KINGの「SCANATION」をApple Musicで
アルバム・1999年・11曲
SCAFULL KINGの「Doubt! - EP」をApple Musicで
アルバム・2011年・4曲

1990年結成。国内屈指の大御所スカ(パンク)バンド。ライブでの観客達のはじけっぷりがこのバンドの素晴らしさを物語っています。

楽しそうに踊る人、ダイブする人などなど。スカバンドと称されていますが、楽曲からは充分にメロディックパンクの匂いを感じられ、楽器陣が賑やかなのですが巧みな演奏力とボーカルのお陰でライブでは非常に心地よく聴かせる一面もあります。

AIR JAMやフジロックなどの野外フェスにも参加しており、BACK DROP BOMBや、BRAHMAN、SUPER STUPID達と共に東名阪ツアーも行っています。

2001年に活動休止となりますが、その後も2、3年おき位にライブやフェスへ参戦しており、メンバーの内3人はFRONTIER BACKYARD(フロンティアバックヤード)としても活動しています。

ナイスマーブルス

ナイスマーブルスの「Real」をApple Musicで
アルバム・2002年・13曲
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ナイスマーブルス「Night see」

1998年結成。

ex CAPTAIN HEDGE HOGの山下さん、ex PESTMENの阿部兄弟からなる3ピースバンド。

この20選の中では一番ポップなサウンドでメロコア、ハードコアシーンからは少し距離のある感じがしますが、メンバー各々の経歴やリリース事に研ぎ澄まされていく楽曲へのアプローチなどから決してシーンから遠くない存在です。

山下さんの作り出す楽曲と声は非常にオリジナリティに溢れており、メロディックパンク、ロック、エモの要素を充分に感じる事ができて(哀愁)、特に2001年に発売された「Night see」はかなりの名曲です。

音源に関してはマンガBECKのトリビュートアルバムへの参加の他、シングル、アルバムを2枚ずつリリースし、2003年には解散しています。

解散後、山下さんはASPARAGUS、AVANTI、THE STARBEMSに進んでいます。

まとめ

以上20組を紹介させて頂きましたがいかがでしたか。

ここには載っていないけれど、いや、載せたかったバンドも他に山ほどありそれだけ1990年代のインディーズシーンは今にはない盛り上がりをみせていた様に感じます。

この時代をリアルタイムに生きてきた私にとってはかけがえのない青春であります。(勿論今も)笑。

久々にこれらのバンドの楽曲を聴き返してみたところ、すっかり忘れていた苦い記憶や甘酸っぱい思い出が蘇り、何とも云いがたい気持ちになりました。

90年代に活躍していたバンドのメンバー様は今も尚、インディー、メジャー問わずご活躍されている方が多々おりますが故、この記事と共に応援していきたい次第です。

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長文となってしまいましたが、最後までお読み下さって誠にありがとうございました。



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