デニムの聖地、岡山県。
その象徴として井原鉄道「井原駅」構内には、地元で生産されたジーンズの販売店舗が展開されています。
児島(倉敷市)なども含め、この一帯に根付いている伝統工芸にも近い技術力に魅了されたアパレルブランドは工場を訪れては、試行錯誤を繰り返し、それぞれが独自性に富んだイメージを形にして、市場へ送り出しています。
職人達の手によって施される加工は正に芸術の域。
絶妙な力加減で作りだされた経年変化、例え、同じ品番であっても、仕上りに微妙な違いがあり、いわゆる世界に一本しか存在しない自分だけのオリジナルアイテム。
という強い認識が私の中であります。
が、しかし、実際のところどうなんでしょうか?
以前別記事で宣言していた通り、好き過ぎて全く同じ商品を再購入してしまいました。
今回はこちらの二本を並べて比較した結果を報告します。
デニム加工のあれこれ
ストーンウォッシュ
世界で初めて児島が生み出した画期的な加工技術。
現在、どのメーカーもこちらの技法を取り入れており世界的に認知されています。
1980年代初頭には既に完成された技術として扱われていますが、
工程自体は至ってシンプルで、専用の釜にデニムと共に小石を洗い、その後でブリーチ剤を入れて洗います。
ただ、夏と冬では釜の水温が異なる為、色落ち具合を見極め微調整をして仕上げるのが正に職人技術を要します。
擦り&シェービング
あらかじめ仕込んでおいたヒゲ型を台にセットして、紙ヤスリと専用の器具を使用して生地表面を削っていきます。
ヒゲ型の凸凹に沿って、色落ちを促しますが、生地表面を削る=生地の強度も落ちる為、細心の注意を払い、絶妙な色落ちを再現しなければいけません。
耐久性を考慮して最小限の削りで最高の表情を表現する。
正に職人技であります。
ブラスト
擦り&シェービングの工程の後に、これまた専用の機械を使用して、大量の砂を放射(ホースから)して腿部分のグラデーションを表現します。
こちらの専用機械は造船所で鉄磨きをする為の機械を転用して作られており、一分間に10kg以上の砂を高圧で放射する為、万が一、人肌に触れてしまうと皮膚が破れ、大火傷を負ってしまう危険性が伴います。
特殊部隊のような防具を身につけて作業している事から非常に危険な工程となります。
(防護マスクをしていないと気管に重篤なリスクを負う場合もある)
比較しました
ラウンジリザードのシェービングデニム品番6861を2本並べています。
ちなみに、
①は着用10回程
②は未着用
(バックポケット左)
(左腿)
(左膝)
(右腿)
(右膝)
都市伝説は本当でした。
同じ品番でも微妙ですがグラデーションに違いがあり、何よりダメージ加工にそれぞれの表情が。(そもそも当たり前の事だったのかもしれませんが大きく感動)
バックポケット左側の加工なんか特に解りやすいのではないでしょうか。
その他の加工部分も傷の長さ、深さに違いがある事が伺えます。
当初、①を購入した時、思っていたよりもダメージかある印象だったのですが、②はそうでもなかったり。
(好みとしてはダメージ加工はほとんどいらない)
正に世界に一本だけのオリジナルデニムです。
編集後記(まとめ)
企画、デザインの設計、生地選定、サンプル製作に始まり、一本のデニムの完成に至るまで多くの工程を駆け抜けます。
その中でも肝ともいえるデザインを形にする際の製作工程では、職人ならではの多彩な技術、表現がそこには描写されており、ベースとなるスタイルを生み出した努力の結晶も一本のデニムのグラデーションに含まれているように感じられます。
奥深い魂の一品。
そして私にとってお気に入りのデニム。
自らの体に馴染ませこれから末長く愛用していきます。
※ちなみに前述してある「デニムのあれこれ」は完成までに至る工程の一部であってこの他にも多くの工程があります。
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以上、最後までお付き合い下さって誠にありがとうございました。
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