めまぐるしく移り変わっていく流行の中で、風化することのない確かなもの。
時代背景が反映されていたり、そうでなかったり。
音楽もファッションも、ある一定周期に基づいたサイクルでくるくると転がり続けています。
近年、音楽分野においては出尽くした感があり、テイストが飽和している状態の中、先人達が築いた高みに挑戦すべく、いつの時代も新たな世代は模索を繰り返しそれぞれの手法でセンセーショナルな表現をしています。
それでも、これまでの国内音楽シーンを遡ってみるといつだって実験的で埋もれる事のないアーティスト達が多く存在していました。
今回は2000年初頭に産声を上げたsports(スポーツ)というバンドについてフォーカスしてみます。
スポーツとは?
2001年高校の同級生が集まり静岡県浜松市にて結成。
2002年、大石氏(Dr)が加入。
その後1stミニアルバム「キリン出現」をリリースしますが、直後に伊藤氏(g&Vo)の親友でもある初代ベーシスト古橋氏が失踪。
その後、決まっていたライブを二人で続けつつも、同年、二代目ベーシストとしてex ハートバザールの永井紀子さんが加入されています。(2005年体調悪化に伴い脱退)
2004年にビクターよりシングル「spots wear」でメジャーデビュー。
2007年9月9日渋谷エッグマンでのライブを最後に活動休止となりますが、それまでに定期的なライブ、ツアーを展開しており「art-school」と共演していたり、「つばき」ともほぼ同世代、2004年にはサマーソニックに出演しています。
約6年間という活動期間の中でEP3枚(私は全て購入しました)、ミニアルバム2枚(インディーズ時代)、スタジオアルバム3枚とベストアルバム1枚をリリース。
活動休止後、伊藤さんは独自の作曲の定義を見出し職業作家としての仕事、他に戸高氏(art-school、monoeyes)、戸川氏(ex bluebeard)、山口氏(people in the box)達と「Mayonnaise」というバンドで活動したり、「broken boys」、「eno」、そして現在は「ザ・チャレンジ」のギタリストとしてご活躍されています。
そして、活動休止から7年後の2014年、メジャーデビュー10周年記念ライブを下北沢ガレージにて開催。(期間限定reunion)
(追加公演では1stミニアルバムリリース後、失踪してしまったベーシスト古橋氏も1曲のみですが参加しています。)
余談になりますが伊藤氏と大石氏は活動中一度もケンカをしたことがないそうです。
初代ベーシスト古橋氏と音信不通になってしまった際、ショックを受けていた伊藤氏を励まし続けたのは大石氏、二代目の永井氏が脱退した時はその逆で大石氏を支えた伊藤氏。
このエピソードからバンドを継続し構築していく上で、創作すること以上に大切なこと、
人との関わりにおいては分野を問わず重要な部分である事を改めて考えさせられました。(当たり前か!!)
他者との化学反応は、時に自らの創造を越えた新しい何かを生み出してくれる可能性を秘めていますから。
話は戻りまして、なんと来たる2017年12月16日下北沢ガレージにて約3年振りのワンマンライブを敢行。
さらに、なんとなんと2018年の春には新しい音源を発表すべく、準備を進めているようです。(嬉しい)
メンバー
伊藤寛之 - ギター&ボーカル
大石貴義 - ドラム
特徴&魅力
メランコリックなロック。
エモさありのメランコリック。
洋楽からの影響を漂わせつつも、時にドメスティック(歌謡曲)なアプローチも感じ、不思議な雰囲気です。
ギターが歪む時は歪むし、クリーン(クランチ)の時はとことん綺麗。
(歪んでいてもキラキラしてる)
その中でもメロディの良さは際立っており、
リリースを重ねていく過程で、作品ごとに違いや変化を感じるものの、上述した内容は芯の部分で一貫しています。
一つ言えるのはsportsという確立されたオリジナリティに満ち溢れていると言う事。
インプットした素材を丁寧に紡いでは作り込まれた感があり、卓越された伊藤氏のメロディセンスが輝いています。
エモいだけではなく「believer」や「fall in love once again」など、落ちた時に聴くと元気の出る楽曲が多い事も魅力の一つではないでしょうか。
個人的には楽曲におけるその独自性(オリジナリティ)の高さは、渡辺 忍氏(アスパラガス)と同じようなオーラを放っている印象です。(楽曲を聞いて誰の曲かすぐにピンとくる)
フロントマン伊藤氏の甘いボーカルは繊細で時に力強く伸びやか。
また、ギターにおいても技術の高さが光ります。
何ていうか、上手いです。センスの塊みたいな。(そのまんま)
多分、バンド経験のある方が伊藤氏のプレイと音を目の当りにすれば皆共通した見解になるのではないかと。
事実、「superfly」のバックバンドで器用にサポートをこなしたりと、ギタリストとしても評価されている実績があります。
傍ら、自身の楽曲「鉄の街」ではピアノを演奏しておりマルチプレイヤーとしての一面も。
伊藤氏の魅力ばかり綴っていますが、大石氏のドラムもバンドを支える軸として存分に機能しており、
楽曲の雰囲気作りに貢献しているタイム感、メロディを生かすドラミングは正に唄心のあるプレイとして存在感があります。
リズム隊のもう一角、ベーシスト永井氏のニコニコしながら器用に動きまくるフレーズはsportsの楽曲にまた少し違った側面での美味しい味付けをしているかと。
とにかく、一度は聴いてみて下さい!!
おすすめ5選
super sonic
fall in love once again
sports wear
believer
P.I.L
編集後記(まとめ)
当初、おすすめ3選的なアプローチで書き始めた記事も、結局sportsの事を書いてみると止まらなくなってしまい、この際だからメインにしてしまえ!!という結果になりました。
何気にsportsの面々と私は同世代。というか同学年になるワケで。
当たり前の事ですが、好(よ)いとされる尺度は人それぞれであって、時代との互換性が伴わなければヒットする事は難しいであろう音楽シーン。
それでも、sportsには普遍的な温かさと熱量と確立された煌びやかさがあるワケで。
ぜひとも、新しい世代に聴いて頂きたいバンドの一つであります。
相変わらずのつたない文章でしたが、僅かでもsportsの魅力が伝わればこの上ない喜びでござる。
以上、最後までお付き合い下さって誠にありがとうございました。
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